白内障手術症例9

69歳女性 単焦点レンズ(テクニスアイハンス)

術前術後
右眼
 遠見

0.06(0.9×-6.0D)
右眼
 遠見

1.2(n.c)
左眼
 遠見

0.04(0.5×-6.0D)
左眼
 遠見

0.5(1.2×-1.0D)
屈折度は等価球面度数

両眼の視力低下の主訴で当院を受診され、白内障が原因だったため手術となりました。

手元も遠くもよく見たいというご希望でしたが、ハロやグレアといった多焦点レンズ独特の見づらさを気にされており、多焦点レンズにする決心がつかないようでした。
この患者様のご希望としては、
・裸眼で運転したい。
・なるべく老眼鏡も使用したくないので、手元もある程度見たい。
・ハロやグレアといった多焦点レンズ特有の見えづらさは避けたい。
ということでした。

ご要望全てを満たすことは難しいことをお話した上で、選択肢として、
・ハロやグレアの比較的少ない多焦点レンズ(シンフォニーやパンオプティクス)
・モノビジョン
を提案しましたところ、やはり多焦点レンズは特有の見づらさが心配とのことで、モノビジョンを希望されました。そこで、焦点深度が深いアイハンスを用いてモノビジョンにすることとしました。アイハンスを用いることで、左右差の少ないモノビジョンにしつつ、比較近方に合わせた眼で、ある程度近方が見えることが期待できます。

手術後、裸眼で右1.2、左0.5と裸眼での運転に支障のない視力となり、手元作業は主に左眼で細かい作業以外はほぼ眼鏡なしでできるようになったとのことでした。左右差も少ないモノビジョンのため、両眼視した際のアンバランスもないとのことでした。

アイハンスは独自の高次非球面構造をもたせており、遠方の視力を維持したうえで、中間距離まで見やすさを保つように設計された眼内レンズです(近方視力は多焦点レンズほどは期待できません)。本来は遠方に焦点を合わせて用いることが一般的ですが、この患者様のように、マイクロモノビジョンでの使用にも有用性があると再認識できました。

この記事を書いた人

shinohara